A弁護士日記(人生相談の解答、法律相談の回答)

 どの本や新聞をみても、なぜ人生相談の回答がひとつなのであろうか?

 大新聞なら紙面はいくらでもある。これも回答、あれも回答ということで投書欄のように多くの読者から広く答えを求め、

 結論を選択させるとおもしろい。

 なにも弁護士や作家や評論家だけが正しい答えを出す能力があると限ったものではない。

 

★ 「となりのピアノがうるさいからどうしたらよいか」という問にしてからが、回答はいくらでもある。

 

 その一 

   「娘が弾いているんなら大きくなって嫁にゆくまでがまんせい。人間そのくらいがまん出来なくてどうする

   か。新幹線、高速道路沿線の人々の苦労を考えてみい」

 

  その二

   「テープにとっておいて弾き終わったらすぐ倍ほどの大きさで何度も流して聞かせてやれ。おのずと悟る

   であろう」

 

  その三

   「どなりこめ、弾き終わるまで玄関先にすわりこめ」

 

  その四

   「軽犯罪法にふれるようなものであれば弁護士に頼み警察に告訴するとよい」

 

  その五

   「がまんの程度がこえれば民法上は不法行為が成立するので、弁護士を頼んで慰しゃ料を請求出来ます」

 

 その六

   「となりからピアノの音がきこえない所へさっさとひっこせ。てまえで小さな家に住んでおきながら、その

   程度のことでいちいち人に相談するな」

 

 その七

   「ピアノの音を小鳥の声とおもいなさい。何事も人生、心のおちつきが大切です」

   

   こんな回答を書いていけばきりがない。

   大体評論家の回答はきざなものが多い。

   人のことだからえらそうなこと言っているが、とても相談者が満足しそうもないという答えはいくらでもあ

   る。そして人に説得することと自分がする事とは全く別ということは、よくあることである。

 

★  風邪をひいて医者に相談した。

  「かぜなど寝て休養をとれば自然に治るものだ」 と言えば医者は金にならない。

  「すぐに病院に来て、点滴注射をうち、薬を飲みなさい」と答えれば医者のためにもなる。

  ただちにしなければならない手術もあれば、不要な手術もある。

 今般、ガンですぐ手術をさせ、抗がん剤を出すことの是非が問題になってきた。

 何もしない方が長生き出来るケースが多いという慶応大学医学部のドクターもいる。 

 ただちに裁判をしなければならない事件もあれば、そうでないものもある。

 弁護士へ無料だというので相談に行って「あなたは勝てます」「裁判の着手金を用意しなさい」と言われ、無駄な裁判をすれば金だけかかることはよくある。 

 弁護士も今では増えすぎ色々である。

 良心的な事件のスジの見立てが肝心であるが、ここのところの判断に十分な経験の裏打ちが必要である。

 弁護士費用の高すぎるのはよくないが「安い弁護士がよい」というものではない。

 結果として「安かろう」「高かろう」は、どの仕事でもよくみられるところである。 

 

 

★ 法律相談料が「無料」というのも考えものである。

   なかには法律事務所へ来る交通費まで出し、相談は無料と宣伝する法律事務所まである。これには裏がある。

   結局、相談料を無料にして、相談者を各地から多く集め、その相談者の中から

 お金になる事件だけをよりすぐるという手法である。