B弁護士日記(ツグミをとってもいいという法律改正は出来ないか?)

 昔、修道院でのヴァイオリン演奏会のあと、多治見の料理屋へ青年会議所の仲間と出かけた時のことである。

 同席の芥川賞作家、池田満寿夫がツグミのあたまを口に入れ数回かんでからほろにがさの為にはき出した。

 

 「あなた、どうしてこんなにおいしいものが食べられないの」

 そう言いながら国際ヴァイオリニストで美人のほまれ高い佐藤陽子は、池田満寿夫が人前で口から出したツグミ

をひょいとつまんで食べてしまった。

 

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 ツグミをとらえて食べることは、世界中のどこの国でも犯罪とされる行為ではない。

 「ピレネー山脈の向う側では正義とされることがこちら側では悪となる」ことはよくあることであって、山ひとつ越え

ば正義の評価は異なる。

 「汝、殺すなかれ、盗むなかれ」の万国共通の殺人罪や窃盗罪とは罪質が違う。

 「殺し」や「盗み」は万国どこへ行っても違法性を帯びた犯罪である。

 ツグミをとらえることが犯罪となったのは昭和22年のG・H・Qの方針(バードデー)によったものであり、いわば

アメリカ軍の押しつけであった。

 

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 スズメをとって食っても犯罪とならないのは、「鳥獣保護及び狩猟に関する法律」で、スズメが保護されていない

からであり、ツグミが犯罪となるのは、「狩猟」してもよい部類から昭和22年にはずされてしまったことによる。

 だから、ことはかんたんで、ツグミを法律で、もとの「狩猟鳥」にもどせばよい。

 そういう「請願」をすることは、国民として当然の権利であり、犯罪でもなんでもない。

 ある日ニワトリを食ってはいかんという法律を作ることと同じである。

 

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 ツグミを取ったからといって逮捕する「ケーサツ」を批難しても始まらない。

 警察は日本国の行政機関であるから、「日本国で犯罪とされる行為」についてはどこからかやかましい「告発」が

あれば取締らざるを得ないのである。

 「ツグミを狩猟鳥にする」という公約をかかげた「代議士」が出現しなければ話にならないのである。

 「売春を合法化する」という公約では、女性票が逃げるから命取りになる。

 東濃で「ツグミを狩猟鳥にすべく国会で努力する」という公約をかかげたらはたして「票」は増えるか減るか。

 そのくらいの代議士がなぜ出て来んのか。

 問題は「野鳥の会」の皆様の票と、どちらの支持票が多いかだけである。

 

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 ツグミをうまいと思って食うか食わないかはツグミへの「愛」があるか「慈悲」があるかの問題であって、

絶対的な「正義」か「悪」であるかの問題ではなかろう。